メダイ釣り　　　　　　　　　　　　　　

桜が咲いた！　

桜が咲いた！　

いつになくあわただしい桜の開花に、もう辛抱たまらず郷里の山陰海岸柴山港へ桜鯛を釣りに行ってきた。移動性高気圧の動きを見計らって、ソレッ！と意気込んで出漁し、ソデにされてボーズ（釣果ゼロ）で帰宅。

だが、転んでもただで起きたりするものか。ボーズもたびたびやっていると修行が足りてなかなかしぶといのだ。桜鯛は釣れなかったが、メダイをしっかり釣ってきた。

縁戚の若船頭と私の二人、朝早く沖へ出て釣り糸を垂らし延々待つこと三時間。

「おじさん、潮が行かんなぁあ。無線がイルカががっせぇ来とる言いますでぇ、どげぇなるでぇ」と彼。

「上げてくんねぇ」との言葉に具（ぐ・釣り仕掛け）を巻き上げ、瀬をかえようと二度三度アンカーを打ち代える間に、

「上潮（うわしお）が行き始めたんと違うんけぇ。二枚潮か」と彼。

釣り場を深場へと移していた。水深約九十ﾒｰﾄﾙ。タナ（魚泳層）を小刻みに探り、仕掛けがほぼ底に達した頃、ググッと竿を締め込む当たりがあった。強調子の竿が弓になる。電動リールがうなる。巨大なメダイだった。立て続けに七尾。船の胴の間のイケスに放ち、早々に港へ引き上げた。　　　　　　

メダイ・目鯛と書く。目の大きなドングリ目の深海魚。春先浅場に上がって来る。薄墨色の魚体。老成魚はやや赤みを帯び八十ｾﾝﾁほどになる。真鯛より幾分丸っぽい。オキアミ餌で釣るがすごいファイター。

サシミ、塩焼き、テンプラ、鍋等、何にしても抜群の味。釣り人の間では食べ味・釣り味ともに真鯛よりむしろ上。